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[発言3]学校で共食を重視した食育をどう進めたらよいか-愛知県内小学生調査からー
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File / Name | License |
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本文 |
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アイテムタイプ | その他 / Others |
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言語 | 日本語 |
著者 |
上原 正子
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抄録 |
2012 年11 月、愛知県内小学5 年生を対象(n=1,226)に家庭の食事や学校給食、自己意識について質問紙調査を実施した。その結果、家族との共食(朝食)の頻度が高い群は少ない群に比べ食の時間はとても楽しいと感じていた。また、「いま、自分がどんな気持ちなのか考える」「自分の気分がかわるとすぐに自分で気がつく」(私的自己意識)は男女とも共食の頻度が高い群ほど少ない群より得点が高かった。家庭での共食の頻度の差は子どもの心の成長の一つの指標である自己意識の発達に影響を与えているようである。
学校では給食の時間や食にかかわる教科の単元、あるいは食に関する特別活動の時間に仲間と「共に食べる」「作って食べる」ことを子どもたちは体験する。学校での食事が家庭の食事と最も違う点は多くの仲間と共に行う教育活動であるということである。家庭の共食の「安心」に対し、学校の共食は「共生観」が養われるといわれている。子どもたちは自分の嫌いなものをパクパク食べたり、全部残さず食べたりしている友だちを見て「おいしそうだなあ」「ぼくも食べられるかもしれない」と思う心や自分と違う他者を認める心が育つようである。現在、学校には豊かな体験の保証が求められてきている。これは子どもの学力格差が体験量の差から生まれるという調査結果等から指摘されるようになった。学校だからできることとして発達段階に応じた幅広い体験が期待されている。食に関わる体験活動はその一翼を担うと考える。そしてこのような体験を活かすことにより、食物を大切にし、食物の生産等にかかわる人々へ感謝する心を持ち、食文化や食にかかわる歴史等を理解・尊重する心を持つことができるという食育の目標に近づくことができる。前述の調査では、児童への調査以外に担任に給食に関し自由記述を依頼した。「共食の視点からどんな工夫をされていますか」では、「会食形式」「マナー」「ルール」に関する内容がみられた。給食の時間の子どもの様子は「モリモリ食べている」の一方で、「食べるマナーが悪い」「好き嫌いをはっきり言う」などの問題点が書かれていた。この点が学校における共食を重視した食育、特に給食の時間の進め方のポイントではないかと考える。 学校関係者が共食で育つ子どもの発達があることを理解・意識することが必要である。本シンポジウムでは調査からわかってきたことや共食の力を活かし「楽しく食べる」食育をどう進めたらよいかを提案したい。 ・公的自己意識とは自己の外面や他者に対する言動などに注意を向けやすい傾向のこと ・私的自己意識とは自己の内面や感情や気分等に注意を向けやすい傾向のこと ・児童の私的自己意識得点が高い傾向にある方が自己意識は発達しており、自分をよく認識できるため、そうでない児童よりも対人不安傾向が低く、自己顕示欲求が強く、自分に自信を持って行動できる。(それぞれ9項目の設問であることから36 点が満点である) |
雑誌名 | 名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報 |
雑誌名(英) | Annual Report of Institute of Health and Nutrition, Nagoya University of Arts and Sciences |
号 | 6特別号 |
ページ | 57 - 63 |
発行年 | 2014-01 |
出版者 |
名古屋学芸大学健康・栄養研究所
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ISSN |
18821820
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関連サイト |
名古屋学芸大学健康・栄養研究所
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